公務員から行政書士への話

業務

公務員(を中途退職して)から行政書士へ

役所に勤め、早20年。最近忙しく家族との時間も満足にとれない。

仕事にもやりがいを感じない…。行政書士に興味があるが将来が心配だな…。

そのようなお悩み、是非!当事務所にご相談ください!

公務員(いわゆる市町の役所、役場等)として行政事務を17年以上(中卒の場合20年)担当しますと、行政書士試験が免除されます。これにより、役所を定年退職後に行政書士登録される方も毎年多くいらっしゃいます。

そのような中、私のように中途退職して行政書士登録する方、経験年数が足らず、一般の方同様試験に合格されて行政書士登録する方いらっしゃいますが、今回、役所に勤めて20年弱の方が、中途退職してから行政書士になるメリット・デメリットを、私の経験をもとに書いていこうと思いますので、公務員を中途退職して行政書士をお考えの皆さんのご参考になれば幸いです。

 

メリット

自分の思う時間で仕事ができる

役所勤め20年前後というと、部下や後輩がすでに何名かいて、係長などの管理職に就いているくらいの年齢ではないでしょうか?連日の激務に、上司や部下からの指示、指摘などの板挟みで、思うように仕事も進まない…。家庭ではちょうど子供が育ちざかり。配偶者に負担をかけてばかり…。土日も深夜までずっと仕事…。このような方には、是非行政書士はおすすめです。

勤務時間、勤務日はご自身で思いのまま選択できますし、極端な話、夜間専門で開業し日中は家庭の時間とすることやダブルワークに励むことも全然可能と思います。

自分の専門業種の選択肢が幅広くなる

役所にいると3~5年で定期的に異動があり、全く違う職種を経験することばかりです。私の例で言いますと、入庁以降、都市計画・建築・土木・農業土木といった技術系の部署を中心に税務等の部門も経験させていただきました。これらの部署に関する行政書士が関わることが可能な業務の一部を下記に上げます。

◎都市計画・建築

〇確認申請、風致地区内行為申請、道路位置指定申請、屋外広告物申請、開発行為など

◎土木・農業土木

〇道路占用許可、特殊車両申請、道路証明、土地の利用に関する申請、農地法関連など

◎税務

〇軽自動車等登録、確定申告(収支内訳書の作成など)、会計記帳など

 

少し考えただけでもこの程度は出てきます。ここに列記した以外にも非常に多くの業務に携わることが可能です。また、公務員は特権で確定申告の時期だけ税理士同様、確定申告書の作成・相談にのることができたり、業務に関わる土地建物の嘱託登記をできたりなど、非常に多くの経験をすることができるのも魅力です。これらの経験を、業務に活かすことも可能です。

これ以外の部署を経験していないではっきりとは申せませんが、戸籍や住民票の窓口を担当したことがある人であれば、相続関係の仕事を専門にしよう!農業委員会にいた人は農地転用等を専門にしようなど専門業種の選択肢は無限にあります。

 

営業・経営についてある程度経験・見込みがある状態で開業できる

役所勤めの間に、「ある程度この業種なら仕事がありそうだな」や「この業種に関しては、取引先に困らなそう」「この分野の申請が近年多い」などの情報収集や見込みを立てやすいこともメリットの一つです。また、20年近い勤務経験があるため人脈をある程度持っている状態からのスタートとなる場合が多いと思いますので、開業直後はそういった人脈を使って営業廻りをすることになると思います。また、これらの方からの紹介の仕事も結構入ってきます。

更に、社会経験も20年近く経験されていることにより、ご自身に営業のスキルや、経営の自信がどの程度あられるかわかっているのではないでしょうか?「人付き合いが苦手」、「パソコンや数字に弱い」といったご自身の欠点もわかるのではないでしょうか?このような方は、行政書士独立開業には向いていないかもしれません…。

誰にも気兼ねなく仕事ができる

実はこれが一番のメリットかもしれませんね。ご自分で独立開業すれば、上司や同僚、部下はもちろんいません。職場での対人関係の悩みが無くなるのはメリットと言えるでしょう。

また、役所では様々な方が訪れます。中には「因縁まがいのクレーマー」「理不尽な要求をされる方」言い方は悪いですが「判断能力が乏しい方」などもいらっしゃいます。私も役所在職中に、来庁者の方がいきなり執務室内に入ってこられ、奇声を上げたり、鬼ごっこを始めた方の応対をしたことがあります。また、長時間のクレーム対応、「誠意を見せろ!」とは何回言われたか記憶にないくらいあります。忙しい事務作業があるときに限ってこのような方の対応に時間をとられることも多くありました。

職場のクレーム研修などではこのような来庁者に対して「毅然とした態度で!」「無理なものは無理と言う。」「お帰り下さい。」「長時間のクレームの電話は切る!」といったご指導を受けたことがあります。しかしこれは人口が何万、何十万人の自治体で有効なだけで、数千人規模の小規模自治体では、相手方が、こちらの家族構成から自宅の位置、中には田畑の位置まで知っている場合が特にありまして、苦情に限らず相談や業務の打ち合わせ等、休みの日に自宅に電話があったり、早朝から自宅に押し掛けられることも数えきれないくらいありました。中には、休日私と連絡が取れなかったため、実家の父の携帯に電話があったこともありました。このように小規模な役所の職員は、プライベートの時間まで削って仕事をしないといけない現状があります。

行政書士として独立開業しても同じような理不尽な方の応対は、ごく稀にありますが、「お帰り下さい。」「これ以上は有料相談となります。」「警察呼びますよ!」と言えばすぐに終わらせることが可能となります。

 

デメリット

安定した収入が無くなる

極端な話、公務員でさえいれば仕事をさぼっていても、毎月決められた給料が入ってきます。また、病気や出産に伴う休暇中などでも一定額保証されます。開業すると自分で仕事をとってきて、仕事を終わらせないと一円たりとも得られません。しかし、やればやった分だけ収入が増えるという魅力は公務員では味わえないことかもしれませんね。

社会の信用が無くなる

公務員であれば、金融機関にて保証人が不要となったり、親族、知り合いから信用されるというのはかなりあります。私は役所を退職後、携帯のローンが組めず機種変更の際は一括払いでした…。まだ、金融機関のお世話になっていないのではっきりとはわかりませんが、融資等も保証人を立てたり大変だと思います。

すべて自分の責任となる

問題が起きても、責任を取ってくれる上司はいません。あなたがすべての責任をとる必要があります。

 

 

以上、思いつくままに書きましたが、これ以外にもメリット、デメリットはたくさんありますので、また思いついたら第2弾を書くと思いますので今回はこのへんで・・・。

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